コラム記事

子育てに関する疑問や日々の暮らしに
役立つ情報をコラムにして紹介しています。

妊婦さんの食事のコツと
注意すべきポイントを解説

妊娠中には、生まれてくる赤ちゃんのためにどういった食事を摂ったらよいのか、不安に思っている妊婦さんも多いことでしょう。初めての妊娠の場合はなおさら。妊娠中は妊婦さんの健康とお腹の中の赤ちゃんの発育において重要な時期ですが、必要なエネルギーや栄養素が十分摂取できていないケースが多々あります。妊娠は食生活を見直すチャンス。出産後の生活のためにも、自分と家族を守る食習慣を身につけましょう。

妊婦が食事で気を付けるポイント

妊娠中の食事は、時期によって気を付けるべきポイントが異なります。

妊娠初期(妊娠13週まで)

つわりの影響で食欲に個人差のある時期です。嘔吐を繰り返すと脱水症状を引き起こしやすいため、水分補給をしっかりおこないましょう。

またこの時期は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低減するため、葉酸をしっかり摂取する必要があります。食事からの摂取に加え、吸収のよいサプリメントでの摂取も推奨されています。

妊娠中期(妊娠14週から27週まで)

つわりがおさまり食欲も出てくる時期です。お腹の赤ちゃんの発育を考えると、妊娠前と比べてエネルギー摂取量を一日あたり250kcal増やす必要があります。

一日3食+補食(間食)で必要なエネルギーや栄養素をしっかりと摂りつつ、体重をコントロールしましょう。

妊娠後期(妊娠28週から)

妊娠後期は、妊娠前と比べて一日あたり450kcal増やす必要がありますが、大きくなったお腹が胃を圧迫して一回の食事量が減りがちな時期でもあります。妊娠中期と同様に、食事の回数を増やして必要なエネルギーや栄養素をしっかりと摂りつつ、体重をコントロールしましょう。

妊婦さんが一日に必要な栄養素量

妊娠中は、体の変化に伴って、普段よりもエネルギーや栄養素の必要量が増えます。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、栄養素によって、妊娠初期・妊娠中期・妊娠後期の3区分に分けて、基準となる量が定められています。

【妊婦の食事摂取基準】
エネルギー 推定エネルギー必要量※1,2
エネルギー(kcal/日)(初期)
(中期)
(後期)
+50
+250
+450
栄養素 推定平均
必要量※3
推奨量※3 目安量 目標量
たんぱく質(g/日)(初期)
(中期)
(後期)
+0 +0
+5 +5
+20 +25
(% エネルギー)(初期)
(中期)
(後期)
13〜20※4
13〜20※4
15〜20※4
脂質
脂質(% エネルギー)
20〜30※4
飽和脂肪酸(% エネルギー)
7以下※4
n-6 系脂肪酸g/日)
9
n-3 系脂肪酸g/日)
1.6
炭水化物
炭水化物(% エネルギー)
50〜65※4
食物繊維g/日)
18以上
ビタミン 脂溶性
ビタミンA(μgRAE/日)※5(初期・中期)
(後期)
+0 +0
+60 +80
ビタミンDμg/日)
8.5
ビタミンEmg/日)※6
6.5
ビタミンKμg/日)
150
水溶性
ビタミンB1mg/日)
+0.2 +0.2
ビタミンB2mg/日)
+0.2 +0.3
ナイアシンmgNE/日)
+0 +0
ビタミンB6mg/日)
+0.2 +0.2
ビタミンB12μg/日)
+0.3 +0.4
葉酸μg/日)※7,8
+200 +240
パントテン酸mg/日)
5
ビオチンμg/日)
50
ビタミンCmg/日)
+10 +10
ミネラル 多量
ナトリウムmg/日)
600
(食塩相当量)g/日)
1.5 6.5未満
カリウムmg/日)
2,000 2,600以上
カルシウムmg/日)
+0 +0
マグネシウムmg/日)
+30 +40
リンmg/日)
800
微量
鉄(mg/日)(初期)
(中期・後期)
+2.0 +2.5
+8.0 +9.5
亜鉛mg/日)
+1 +2
mg/日)
+0.1 +0.1
マンガンmg/日)
3.5
ヨウ素μg/日)※9
+75 +110
セレンμg/日)
+5 +5
クロムμg/日)
10
モリブデンμg/日)
+0 +0

※1エネルギーの項の参考表に示した付加量である。

※2妊婦個々の体格や妊娠中の体重増加量及び胎児の発育状況の評価を行うことが必要である。

※3ナトリウム(食塩相当量)を除き、付加量である。

※4範囲に関しては、おおむねの値を示したものであり、弾力的に運用すること。

※5プロビタミンA カロテノイドを含む。

※6α-トコフェロールについて算定した。α-トコフェロール以外のビタミンEは含んでいない。

※7妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を 400μg/日摂取することが望まれる。

※8付加量は、中期及び後期にのみ設定した。

※9妊婦及び授乳婦の耐容上限量は、2,000μg/日とした。

出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版),P379

積極的に摂りたい食べ物

それでは、具体的にどのような食材が妊娠中に適しているのでしょうか。妊婦さんにおすすめの食べ物を紹介します。

妊娠中に積極的に摂りたい食べ物① 主食・主菜・副菜でバランスよく

基本となるのは、「主食・主菜・副菜」のそろった食事です。
主食(ご飯、パン、麺など)を中心にしてエネルギーをしっかりと摂り、主菜(肉・魚・卵・大豆製品を使ったおかず)からタンパク質を摂ります。さらに副菜(野菜・きのこ類などを使ったおかず)から食物繊維やビタミン、ミネラルを補います。

妊娠中に積極的に摂りたい食べ物② 葉酸

赤ちゃんの神経管の発育に必要な「葉酸」は、妊娠初期に特にしっかりと摂りたい栄養素です。葉酸の多く含まれている食材には、青菜類(ほうれん草、モロヘイヤなど)、ブロッコリー、枝豆、かぼちゃ、焼きのり、納豆、いちご、バナナなどがあります。これらを毎日の食事に積極的に取り入れていきましょう。

妊娠中に積極的に摂りたい食べ物③ 鉄分

妊娠すると母体の血流量が増加するため、「鉄分」の必要量が増加します。肉や魚などのタンパク質食材、小松菜などの青菜のほか、大豆製品にも鉄分が含まれています。植物性食品に含まれる鉄分は吸収率が低いため、吸収を促すビタミンCと一緒に摂る工夫も必要です。

妊娠中は控えたほうがいい食べ物

反対に、妊娠中には控えたほうがいい食べ物や飲み物について、具体的な例と、控えたほうがいい理由を解説します。

妊娠中は控えたほうがいい食べ物① 生肉やナチュラルチーズなど

妊娠中は、一般の人に比べてリステリア菌に感染しやすい状態になり、赤ちゃんに影響する可能性もあります。生の肉、加熱不十分な肉や魚の加工品、ナチュラルチーズなど、リステリア食中毒のおもな原因となる食品は控えるようにしましょう。

妊娠中は控えたほうがいい食べ物② 一部の魚(種類と量に注意)

魚は良質なタンパク質源で健康な食生活には欠かせないものですが、妊娠中には注意が必要です。一部の魚は食物連鎖によって水銀が取り込まれているため、偏った食べ方をしてしまうとお腹の赤ちゃんに影響が出る可能性があると指摘されています。
キンメダイやメカジキなどは一週間に80gほどの量にとどめるようにするなど、食べる魚の種類と量に注意が必要です。

妊娠中は控えたほうがいい食べ物③ アルコールやカフェインを含む飲料

妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群を引き起こす可能性があるので控えてください。ノンアルコールの飲料をうまく利用するとよいでしょう。

また、妊娠中にカフェインを多く摂取することで、低体重出生や、流産や死産を起こすリスクが高まるという研究結果があります。コーヒーなどカフェインを多く含む飲料は一日1~2杯までがよいとされています。

妊娠中の飲み物

妊娠中は、糖分やカフェインなどを含まない水を、こまめに摂るようにしましょう。牛乳や豆乳で不足しがちな栄養素を補うのもおすすめです。つわりの時期は、無糖の炭酸水が飲みやすいという妊婦さんも多いようです。

ほうじ茶や麦茶、ルイボスティー、低カフェインコーヒーなど、低カフェインやノンカフェインの飲み物もうまく活用するのもよいでしょう。

妊娠中にウォーターサーバーが
活躍する理由

普段以上に水分補給を意識したい妊娠中は、いつでもサッとお水が飲めるウォーターサーバーが便利です。体を冷やす飲み物をなるべく避けたい妊娠中でも、冷水・温水どちらもすぐに出るウォーターサーバーなら、ちょうどよい温度の水を飲むことができます。あたたかい飲み物を、お湯を沸かす手間なく手軽に飲むことができるのも嬉しいポイント。妊娠中だけでなく、出産後や育児中もミルクや離乳食作りに活躍してくれるでしょう。

妊娠中の食事のコツ

妊娠中は、普段よりも必要なエネルギーや栄養素が増えます。つわりなどで食べられない時期もありますが、一日3回、主食・主菜・副菜のそろった食事をしっかり食べることが基本です。

必要エネルギー量が高まる妊娠中期・後期は特に、一日3回の食事だけでは十分にエネルギーや栄養素を確保できない場合が多いため、補食(おやつ)のとり方が大切になります。おやつタイムは、いわゆるお菓子ではなく、不足しがちなタンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などを補うチャンスと捉えましょう。例えば、おにぎり、フルーツ、ナッツ、ヨーグルト、焼き芋、ゆで卵、ココア、小魚などがおすすめです。加工食品やお菓子の食べ過ぎはカロリーオーバーにつながるので、注意が必要です。

また、食事を抜くなどして食事のリズムが不規則になると、血糖値が乱れる要因になります。規則正しい食生活を意識しましょう。

おすすめの食事のレシピ

最後に、魚の缶詰を使ってパパッと作れる丼のレシピを紹介します。

サバ缶の卵とじ丼

材料(2人分)

  • ・サバ水煮缶1缶
  • ・ニラ1/2束(わ)
  • ・卵3個
  • ・ご飯茶碗2杯分
  • ・めんつゆ(ストレート)100㏄

作り方

  • 1鍋にめんつゆを入れ火にかける。サバ水煮缶をひと口大にほぐしながら汁ごと入れ、煮立ったらニラを加える。
  • 2溶き卵を回し入れ、ふたをして弱火で煮る。
  • 3器にご飯を盛り、2をのせる。

妊娠中にしっかり摂りたいタンパク質や鉄分が手軽に摂れる丼です。調理に手間のかかる魚も、缶詰なら気軽に使えるのでおすすめ。サバ缶の代わりにイワシ缶を使ってもよいでしょう。

野菜やキノコ類たっぷりの汁物をプラスすれば、さらに栄養バランスの整った献立に。缶詰やカット野菜、ミールキットなどもうまく活用しながら、日々の食事を整えていきましょう。

参考

厚生労働省 | 日本人の食事摂取基準(2020年版)

厚生労働省 | 妊娠中と産後の食事について

国立健康・栄養研究所 | 令和元年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 Q&A

執筆者尾上 雅子(管理栄養士)

大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートをおこなうとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。