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医師監修|喉が渇く原因!生理現象以外の理由や賢い水分補給法も解説

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喉が渇く原因の多くは、体内の水分が少なくなっていることにあり、「喉が渇いた」と感じるときは、すでに軽い脱水症状です。また、それ以外の原因でも、喉の渇きを感じることがあります。そこでこの記事では、喉が渇くメカニズムや、1日に必要な水分量、正しい水分補給などについてご紹介します。適切な水分補給をして、美容と健康をキープしていきましょう。

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喉が渇くメカニズム

大人は、体のおよそ6070%が水分でできています。体重が60kgの場合、3642L程度の水分が体の中に入っている計算です。

体の2%相当の水分が失われると、口渇中枢が刺激され、喉の乾きを感じるようになります。そして、喉の渇きがさらに進み、体の3%相当の水分が失われると、脱水症状が起こりはじめます。

この頃にはかなり喉が渇くのを感じるはずですが、高齢になると喉が渇くのを感じないことも多く、重篤状態になる場合もあります。

そのほか、体の塩分濃度を調整するために、喉が渇くこともあります。特に塩辛い料理を食べた後に喉が渇くのは、体内の塩分濃度を薄めるための働きと言えるでしょう。

人が1日に必要とする水分量 

 

大人が1日に排出する水分は22.5Lです。「そんなにたくさんは出ていない」と思う方もいらっしゃるとは思いますが、尿として排出されるのはおよそ半分の量で、それ以外は汗や息、皮膚からの蒸発により排出されます。特に冬場は汗をかいていなくても、空気の乾燥によりかなりの量の水分が体から蒸発します。

このことから、大人が1日に必要な水分量としては、排出量分である22.5Lとなります。これは2Lのペットボトル1本強の量に相当しますが、水分は食事などからも摂取できますので、実際には1.2L程度の水分を直接補給すれば、1日に必要な水分量を確保できると言えます。

子どもは、大人以上に水分を必要としています。幼児で体重1kg当たりに100ml程度と、大人の倍くらいになっています。体重20kgの子どもの場合、1.21.6L必要とします。

水分量が足りないと隠れ脱水になる可能性もありますし、逆に極端に多すぎると低ナトリウム血症を引き起こす恐れもあります。毎日必要量を何回かに分けて飲むように心がけましょう。

そのほかの喉が渇く原因

喉が渇く原因は水分不足だけではありません。このほかにも、さまざまな原因で喉が渇くことがあります。十分に水分補給をしているにもかかわらず喉が渇く場合は、以下のような原因が考えられるでしょう。

ストレスや緊張

ストレスや極度の緊張状態になると、唾液の分泌が抑制され、口の中がカラカラになります。ストレスや緊張で喉が渇いたときに水分補給ができないと、アドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンも上昇し、さらにストレスを感じ、喉の渇きは一層ひどくなるでしょう。

こうした悪循環を避けるためにも水分補給は大切ですが、ストレスや緊張を感じている時間が長ければ、水を飲んでもすぐにまた口の中がカラカラになります。このような場合はお水をたくさん飲まず、お水を口に含んだ状態を保ち、口の中を潤すようにしてみましょう。口の中が潤っているだけでも、少しストレスは軽減します。少量の水を飲んだ後、深呼吸をして落ち着くことも大切です。

加齢によるもの

年齢を重ねるごとに自律神経の働きが弱くなり、唾液分泌が抑制されて喉が渇きやすくなります。特に女性の場合は、加齢によるエストロゲンの減少により、自律神経を乱しやすいため、粘膜の乾燥や唾液の減少が起こりやすくなるため、以前より喉が渇きやすく感じるかもしれません。また、更年期障害が原因の場合は、短時間に汗を大量にかくホットフラッシュにより、一気に水分が不足することも考えられるでしょう。

年齢を重ねるごとに、ますます水分摂取が大切になります。胃腸に負担をかけないよう、こまめに少量ずつ、常温のお水を飲んでみてください。

女性の月経

月経になるとホルモンの働きが活発になり、子宮や乳腺を発達させるために水分を溜め込むため、普段よりも喉が渇くように感じます。つい、コーヒーなどで乾きを抑えようする方もいると思いますが、カフェインは中毒性があり、胃の荒れなどの原因にもなるので、水分補給を目的とする場合は、お水やカフェインが含まれていない麦茶などを飲みましょう。

また、初潮が始まる思春期の場合、女性ホルモンの働きによって、子宮や乳腺の発達が促され、そうした箇所により水分を蓄えようとします。成長期のお子さんがいる場合は、体の成長とともに必要な水分も増えることを意識しておくとよいでしょう。

塩分の多い食事

普段の食事に塩分が多いと、喉が渇きやすくなります。これは、塩化ナトリウムである塩を摂取すると、血液中のナトリウム濃度が上昇し、体が水分を使って濃度を下げようとするため、喉が渇くという仕組みです。

食事の後に喉が渇く場合や、ゴクゴクとたくさんの水を飲んだりする方は、塩分の多い食事になっていないかをチェックしてみましょう。

発熱や下痢

熱が出たり、下痢の症状が見られたりする体調不良でも、喉が渇くことが多いです。

高熱が出ると、たくさんの汗をかくこともあれば、ハアハアと口を開け、荒い呼吸をすることもあるでしょう。すると、水分のほか塩分も多く失われます。

また、下痢の症状があるときも、排泄時に多くの水分が出て、水分不足になりがちです。高熱や下痢といった症状が出たら、脱水症状にならないよう、特にこまめに水分補給をしてください。

診察や検査が必要な病気

ある程度の発熱や下痢であれば、自宅療養で回復しますが、中には医師の診察や、病院での検査が必要な病気が原因で、喉が渇くこともあります。

たとえば、「糖尿病」は、高血糖により体内の浸透圧が上がり、水分を十分に飲んでいても体内に吸収されず、水分が尿として出てしまいます。たくさんお水を飲んでいるのに喉の乾きが止まらないと感じる方や、トイレに行く回数が多い方は、医師の診察を受けてみたほうがよいかもしれません。

そのほか、腎臓疾患、シェーグレン症候群、甲状腺機能亢進症なども、代表的な症状に「喉が渇く」というものがあります。子どもであれば、気管支炎も喉の渇きを覚える病気です。大人も子どもも、水を飲む量やトイレの回数に異常が見られた場合は、医師の診察を受けたほうがよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。寝ている間に呼吸が苦しくなるため、無意識に口を大きく開けていびきをかくという特徴があります。

寝ている間に口腔内や喉が乾燥し、朝起きたときに喉に痛みを覚えたり、声が上手く出なかったりすることもあります。寝ている間は水分を失いやすいため、起床時に喉が渇くのは普通のことですが、喉に痛みや不快感、異常を感じたときは、無呼吸症候群を疑ってみましょう。

水分補給の注意点

水分摂取量やトイレの回数は病気に気付くサインにもなりますが、普段から適切な量の水分を補給することも大切です。ここからは、普段の水分補給で気を付けたいポイントをご紹介します。

一度に大量の水分を飲まない

水分補給の鉄則は「少しずつ複数回に分けること」です。1日に必要な飲料水の量は1.5L程度で、コップ89杯程度ですから、おおむね12時間にコップ1杯ずつのお水を飲むようにするとよいでしょう。特に普段からお水を一気に大量に飲む人は、分けて飲むことを心がけてください。

水分の温度に注意

摂取する水分の温度も大切です。熱々の飲み物が好きな方がいらっしゃるかもしれません。しかし、熱すぎる飲み物は、食道の内膜を損傷させます。その膜を修復するために必要以上の細胞分裂が行われ、食道に負担がかかり、食道がんのリスクになることがIARC(国際がん研究機関)で指摘されています。

一方、冷たい水にも注意が必要です。冷たい水は水分の吸収効率がよく、体を冷やすため、運動時の水分補給としてはメリットがあるものの、冷たすぎる水は胃腸の働きを鈍らせます。

普段の水分補給としては、食道や胃腸に負担をかけない、常温の水(2035℃)がおすすめです。

糖分やカフェインを含んだ飲料に注意

スポーツドリンクなどの清涼飲料水は塩分のほかに糖分も多く含まれています。特に激しい運動をしたり、汗をかいたりしたときは飲んでも構いませんが、普段の水分補給にはお水や麦茶などが望ましいでしょう。また、コーヒーや緑茶はカフェインを多く含んでおり、利尿作用が働きかえって脱水を悪化させるので注意が必要です。

アルコールは逆効果

アルコールもカフェインと同じく利尿作用があります。加えて、アルコールは分解するために水分を消費するため、喉が潤うどころか、余計に水分が必要になるため注意が必要です。

たとえば、ビールを10本飲んだときは、11本分の水分が排尿で失われるといわれています。アルコールを摂取したときは、同量の水を飲むようにしましょう。また、喉が渇いているときや、汗をかきやすい炎天下でのアルコール摂取は、脱水症状になりやすいため避けてください。

特に、熱い季節は、冷たいビールを飲んだ後気持ちよくなってそのまま寝てしまうと、寝ている間に熱中症になるリスクも考えられます。アルコールを飲んだ後は、枕元に水を置いておくとよいでしょう。

喉が渇いたときの対処法

ここからは、喉が渇いたときの対処法をおさらいしていきましょう。

喉が乾く前に水分補給をする

普段の生活では、「喉が渇いた」と感じないよう、こまめに水分補給をするのが理想的です。喉が渇いたと感じる時点で、軽い脱水症状になっています。

喉が渇いたと感じている状態で汗をかくと、どんどん脱水症状が進んでいきます。特に暑い季節は、「喉が渇いた」と感じる前に、チャンスがあれば逃さず水分補給をしておきましょう。

うがいや飴で喉を潤す

水を飲んでも喉が乾燥していると感じるときは、うがいも対策のひとつです。喉が乾燥していると、ウイルスや細菌に対するバリア機能が低下しており、感染症のリスクが高くなります。うがいは、ウイルスや細菌を排出する効果もあるため、うがい後に水分補給をするのも、感染症対策として効果的です。

また、唾液の分泌を促すためには、市販のトローチ錠や飴を舐める方法もあります。ただし、医薬品や医薬部外品のトローチ錠や飴は、効果が高い一方、副作用などにも注意が必要です。用法・用量を守って服用してください。

コンビニで販売されているような一般的な飴やガムにも、唾液の分泌を促進する効果があります。緊張や乾燥によって、口の中が乾いていると感じるときには、飴やガムを活用してみてください。

炭酸水を飲む

喉が渇いていても、一度にたくさん水を飲むと、喉や胃腸に負担をかけたり、体が吸収しきれなかったりするデメリットがあります。もし、ゴクゴクと飲む癖があるなら、炭酸水を試してみましょう。

炭酸水であれば、シュワシュワとした口当たりなので、一度にたくさん飲むのを避けられます。また、炭酸水には、老廃物の排出を促したり、腸内環境を整えたり、血流の流れを促進したりするメリットがあるといわれています。

冷たい水をゴクゴク飲んでしまう方は、常温の炭酸水に切り替えることで、多くの健康メリットがあるでしょう。

炭酸水のみで飲みにくいと感じる方は、無糖のレモネードやはちみつを加えるなど、喉にやさしい飲み物にアレンジしてみるのもおすすめです。

まとめ

1日に必要な水分量は、体の大きさや体重、日中の活動によっても左右されますが、もう少し多く水分補給をしたほうがよい状態の方も少なくありません。「喉が渇いた」と感じる前に、定期的な水分補給を心がけましょう。

また、喉が渇く原因は、ストレスや緊張、加齢や月経といった、日常的なもののほか、医師の診察や検査が必要な重大な病気が原因になっている可能性もあります。以前とくらべて極端に喉が渇きやすくなった、水を飲んでいるのにずっと喉が渇いている、トイレに行く回数が増えたという方は、一度受診を検討してみましょう。

このほか、飲む水の温度にも注意をしてみてください。なるべく常温で飲むようにすれば、体への負担を軽減できます。さまざまなポイントをおさえて、効率的な水分補給を続けていきましょう。

※この記事は正しい情報発信を行うために、医師に監修を依頼しております。商品について医師が推薦を行うものではありません。

 

監修者

桐田 泰江(麻酔科医)

浜松医科大学医学部卒業後、日本人医師で初めてシドニー大学医学部大学院「痛みマネジメント科」の修士号を取得。麻酔科医として勤務後、2022年にMK産健を設立。現在は、健診医業務・嘱託産業医業務などを行うほか、健康に関する記事の執筆や監修などにも携わっている。