• 水の百科事典

海水の塩分濃度とともに飲んではいけない理由を押さえておこう

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海水に塩分が含まれていることは知っていても、「どのくらい含まれているか」までご存じの方は少ないのではないでしょうか。また、近年では海水の塩分濃度が上昇しており、生物形態や海洋環境に悪影響を及ぼす可能性が懸念されています。

そこで今回は、海水の塩分濃度をはじめ、塩分濃度が海域によって異なる理由や海水の塩分濃度が高いところ、海水を飲んではいけない理由についてご紹介します。また、環境を守る取り組みが大切な理由、そしてアクアクララが行っているSDGsへの取り組みについてもまとめているので、ぜひご覧ください。

気になる疑問!海水の塩分濃度はどのくらい?

  

塩分濃度とは、水に含まれる塩の濃さのことです。では、海水の塩分濃度はどのくらいなのでしょうか。

海水は、約96.6%の水と約3.4%の塩分で構成されています。たとえば、1Lの海水には塩分が約34g含まれているということです。
海水に含まれる塩分は、すべて同じ成分というわけではありません。その内訳は「塩化ナトリウム(いわゆる食塩)」が約77.9%、「塩化マグネシウム」が約9.6%、「硫酸マグネシウム」が約6.1%、「硫酸カルシウム」が約4.0%、「塩化カリウム」が約2.1%、「そのほかの成分」の0.3%となっています。

なお、海水の塩分濃度は世界中どこも同じというわけではなく、海域によって異なります。

海水の塩分濃度が海域によって異なる理由

海水の塩分濃度が海域によって異なる理由には、海水の蒸発、降水、淡水の流入、氷の生成・融解などが関係しています。
たとえば、北大西洋(北緯070度)の海水の塩分濃度は約3.54%、北太平洋(北緯070度)の海水の塩分濃度は約3.41%です。同じ緯度であるにもかかわらず北大西洋のほうが塩分濃度が高くなっていますが、これは「貿易風(ぼうえきふう)」が影響しているからです。

貿易風とは、赤道に向かって1年中吹いている風のこと。北大西洋で発生した水蒸気を貿易風が北太平洋に運び、雨を降らせます。雨には塩分が含まれていないため、降水地域の海に真水がくわえられることになり、海水の塩分濃度が下がるのです。
一方で、海水が蒸発すると真水だけが水蒸気になります。塩分は海に残った状態となるので、北大西洋の塩分濃度が上がるというわけです。

上記は「表層」についてですが、「深層」も海水の塩分濃度に影響します。
水は温度が低く、さらに塩分濃度が高いほど重くなり下に沈みます。そのため、上で冷えた水が下の水よりも重くなると、下方に沈み込んでいくのです。ただし、これは世界中どこの海でも同じことが起きているわけではありません。底層まで沈み込むのは「北大西洋のグリーンランド沖」と「南極大陸の大陸棚周辺」の2カ所といわれています。重く沈み込んだ水は底層を移動し、地形や温度などの影響を受けて表層に戻ります。この循環を「海洋のコンベアベルト」といいます。

海洋のコンベアベルトの循環パターンは、約0.2%の塩分濃度の違いによって決まっています。1000年以上かけて海洋のコンベアベルトのルートを1周するほどゆっくりと循環していますが、地球温暖化などの気候変動の影響による海水温の上昇や、氷の融解による塩分濃度の低下が原因で、一時的に循環が停止する可能性も否定できません。万が一循環が停止するとさらなる気候変動が起こり、海域によってはさらに塩分濃度に違いが出ると予想されます。

海水の塩分濃度が高いところはどこ?

塩分濃度が高いところと聞くと、イスラエルとヨルダンの間にある「死海」をイメージする方は多いのではないでしょうか。死海の塩分濃度は約30%前後といわれており、海水の約10倍です。ただし、死海は海ではなく湖です。

では、塩分濃度が高い海はどこかというと、死海の近くにある「紅海(こうかい)」があげられます。紅海は乾燥地帯に位置するため、蒸発量が比較的多くなっています。その上、流入する河川もなく、海水の出入りがほとんどありません。これにより、塩分濃度が一般的な海水に比べて高いのです。

「太平洋」「大西洋」「インド洋」「北極海」「南極海」の五大洋の中で塩分濃度が高い海は、大西洋です。前述したように、貿易風の影響により大西洋の塩分濃度が高くなっています。

日本の海の塩分濃度はどのくらい?

世界の海で最も塩分濃度が高いのは大西洋ですが、日本の海の塩分濃度はどのくらいなのでしょうか。ここでは、日本の海の塩分濃度や、日本で最も塩分濃度が高い海を紹介します。

日本の海の塩分濃度

日本の海の塩分濃度は一般的に約3.23.5%です。日本は、太平洋や日本海などの海域に囲まれており、海水中にはさまざまなミネラルや塩分が含まれています。厳密にいうと、海水の塩分濃度は地域や季節によって異なりますが、日本の海は世界の海と比較して塩分濃度が高めなのが特徴です。これは、海水が潮汐や海流によって循環し、塩分を含んだまま日本の海域に流れ込んでくるためです。

日本の海の塩分濃度は、海流と密接な関係があります。日本近海には黒潮や寒流などの海流が流れ込んでおり、これらの海流により常に新しい海水が運ばれてくる仕組みです。

特に黒潮は暖流であるため、海水を温めながら海岸沿いに流れ、高い塩分濃度を持った海水を日本の海域にもたらしています。こうした理由から、日本の海の塩分濃度は世界の海と比較して高めになるのです。

日本の海で最も塩分濃度の高い地域

日本の海で最も塩分濃度が高いのは沖縄です。沖縄は日本の南西部に位置し、太平洋に面しているため、沖縄の海域は太平洋の影響を強く受けています。

海水は地球上の大気循環や海流によって移動しながら、塩分濃度が高い海水から低い海水へと流れ込むのが一般的です。

沖縄の海域での塩分濃度の高さや海水温は、海洋生物の生息環境にも影響を与えています。特定の海洋生物が生活しやすい温暖な環境となっており、沖縄地方独特の海洋産業や観光名物としての発展にもつながっています。

海水の塩分濃度は年々上昇している?

近年、海水の温度が徐々に上昇していることが中国とアメリカなどの国際共同研究により明らかになってきました。ここでは、上昇している理由や影響について解説します。

過去50年間で比較すると、塩分濃度は上昇傾向にある

海の塩分濃度に関して「過去50年間で塩分濃度が1.6%上昇した」という研究報告がありました。これは、 中国とアメリカなどの国際共同研究により、2020年に報告された研究結果です。

海の塩分濃度が上昇することは、海洋生物や海洋資源に影響を与えるだけでなく、地球環境全体にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

海水の塩分濃度が上昇している理由

塩分濃度の上昇につながる理由は以下の2つが考えられます。

1.地球温暖化の影響

海水の塩分濃度が上昇している主な理由の一つは、地球温暖化の影響です。地球温暖化によって気温が上昇すると、海水の温度も上昇します。

この海水の温度上昇は、海水の蒸発量を増加させる要因となります。通常、水が蒸発するときは、水分のみが蒸発して塩分は残ります。したがって、地球温暖化により海水の蒸発が増加すると、海の塩分濃度が高くなる仕組みです。

2.北極や南極圏などの氷の融解

地球温暖化によって氷床や氷河が融解すると、融解した淡水が海に流入します。この流入した淡水は、一時的に海水の塩分濃度を低下させます。

しかし、さらなる氷床や氷河の融解が進むと、海水の塩分濃度を低下させるよりも、海水の温度上昇による蒸発が優勢となり、結果的に海水の塩分濃度が上昇します。

海水の塩分濃度の上昇による影響

海水の塩分濃度が上昇すると、これまでの塩分濃度で生きていた生態系や海洋環境にさまざまな影響が及ぶでしょう。

海水の塩分濃度が高くなると、一部の生物にとって、生息地や餌の確保にも影響が出て、過酷な環境となる可能性があります。

また、海水の塩分濃度の上昇は海流や海洋循環にも影響を与えることが考えられるでしょう。塩分濃度が高い海水は密度が高くなるため、海流のパターンを変化させる可能性があります。海流に変化があれば、気候や海洋の循環が変化し、地球全体の気候にも影響を及ぼすことが懸念されるでしょう。

さらに、海水の塩分濃度の上昇は海洋生物以外の生態系にも影響を与えます。たとえば、塩分濃度の上昇により海水の浄化プロセスが変化し、海洋汚染物質の分解や浄化が阻害される可能性が考えられるでしょう。

このように、海水の塩分濃度の上昇は生態系や海洋環境に深刻な影響を与える可能性があり、地球環境全体に対する影響が懸念されています。

すぐに実践できる環境を守る取り組み

地球温暖化を防ぐには、日常生活の中で環境を守る取り組みを行う必要があります。たとえば、以下のような取り組みがおすすめです。

1. リデュース(減らす)
使用するものを減らし無駄遣いをしないことが環境保護の第一歩です。たとえば、再利用可能な製品を選ぶ、不要な包装材を減らすなど消費量を削減することが挙げられます。また、必要なものを購入する際には、環境にやさしい製品を選ぶこともリデュースの一環です。

2. リユース(再利用)
使い捨てをするのではなく、製品や資源を再利用することで廃棄物の発生を減らせます。たとえば、使い終わった容器は洗って再利用する、不要なものを寄付するなど物を大切に使い回すことがリユースの考え方です。

3. リサイクル(再資源化)
資源を再利用することで、新たな製品や原料として活用できます。たとえば、身近にできるリサイクルは、使用済みの紙やプラスチック、ガラス、金属などを分別して回収に出すことです。また、リサイクル製品を選ぶことでも、資源の有効活用に貢献できるでしょう。

これらの取り組みは、個人や家庭単位で始められます。日常生活の中に少しの工夫や意識の変化を取り入れることで、地球環境を守る一助となります。

海水を飲んではいけない理由とは?

私たち人間は、水を飲まないと健やかな生活を送ることができません。しかし、海水を飲むのは避けるべきです。なぜなら塩分濃度が高く、1日に必要な塩分の摂取上限量を超えてしまう可能性があるからです。

本来、1日に必要な塩分(ナトリウム)の摂取量は多くても約2gといわれています。前述したように、海水に含まれる塩分量は1Lあたり約34gです。1Lも飲まないにしても海水の塩分濃度は高いため、1日に必要な摂取量を超える可能性はゼロではありません。

仮に塩分を摂り過ぎてしまった場合、高血圧や胃がん、食道がんのリスクが高まるといわれています。この事態を防ぐためにも、海水は飲んではいけないのです。

このほか、海水を飲んではいけない理由に、有害物質を摂取してしまう可能性があるという点もあげられます。そもそも海が汚れるのは、主に産業排水や生活排水が原因です。また、川や海などで遊んだ際にごみをポイ捨てすると、それも海水が汚染される原因になってしまいます。
くわえて、昨今はマイクロプラスチックが海の生物に影響を与えると問題視されています。これらの目に見えにくいごみが海にはたくさん存在しているため、飲まないほうがよいといわれているのです。

飲める水は意外と少ない!環境を守る取り組みが大事

地球の表面の大多数は水で覆われているため、「生きていく上で水には困らない」と考えている方もいるでしょう。しかし、そのほとんどは海水です。淡水は約2.5%しかないといわれており、その中には南極・北極などの氷や氷河も含まれます。そのため、湖沼(こしょう)や河川にある水、そして地下水だけで見ると、その割合は約0.8%とごくわずかです。

さらに、地下水に関しては人が採水できない場所に流出していることもあるため、湖沼や河川など「人が採水できる場所」だけに限定すると、その割合はわずか約0.01%といわれています。

地球の表面はたくさんの水で覆われていても、そのうち飲み水として使用できる水はほんのわずかしかありません。くわえて、昨今は前述したようにマイクロプラスチックが問題になっており、水が汚染されるとさらに飲み水として使用できる水が減ってしまう可能性が考えられます。また、飲み水だけでなくマイクロプラスチックが川や海に流出すると海洋生物が飲み込んでしまい、それを食べる私たち人間にも影響が出る可能性もあるでしょう。

このほか、昨今は海水の淡水化についても問題視されています。海水を淡水に変えることで飲み水として使用できるようになりますが、淡水化の過程で濃縮された塩水が生じます。もし高濃度塩水を適切に希釈処理しなかった場合、海水の2倍の塩分が海に流れ出て海洋生物に悪影響を与えることになります。

これ以上飲み水として使える水が少なくなると、深刻な水不足になってしまうので、それを防ぐためにも環境を守る取り組みが欠かせないといえます。

アクアクララが行っているSDGsへの取り組み

アクアクララでは、持続可能な開発目標「Sustainable Development Goals(以下 SDGs)」に積極的に取り組んでいます。そこで以下では、アクアクララが行っているSDGsの取り組みをご紹介します。

ウォーターボトル・ボトルキャップのリサイクル

アクアクララでは、ごみを削減するためにウォーターサーバーの空きボトルを回収し、洗浄して繰り返し再使用できる「リターナブルボトル」を採用しています。空きボトルをお客さま自身で処分する必要がないため、ごみがかさばる心配がないほか、エコにも貢献できます。

回収したウォーターボトル・ボトルキャップは、廃棄するのではなく再資源化しています。これにより、アクアクララの直営店におけるウォーターボトル・ボトルキャップのリサイクル率は100%を実現しました。
また、アクアクララが独自で設けた使用期限を超えたウォーターサーバー本体に関しても、部品を分解してリサイクル率100%を達成しています。

マイボトルの利用促進

アクアクララでは、従業員のペットボトル飲料の購入・利用、紙コップの使用を自粛し「マイボトルの利用」を推奨しています。全社一丸となってマイボトル利用の取り組みを行っているため、ペットボトル・紙コップごみの削減が日々進んでいます。

さらに、イベント時の入会プレゼントやキャンペーンを通して、お客さまにオリジナルのマイボトルをお渡ししています。お客さまとも一体となって取り組みを行うことで、SDGsの達成に貢献しています。

まとめ

海水の塩分濃度は約3.4%です。ただし、どこの海域も同じ塩分濃度というわけではありません。海水の蒸発、降水、淡水の流入、氷の生成・融解などさまざまな要因が絡み合い、海域によって塩分濃度は異なります。地球温暖化の影響により海水の塩分濃度が上昇している状況です。

また、海水を飲んで塩分を過剰摂取すると、高血圧や胃がん、食道がんのリスクが高まるため、飲まないようにしましょう。

なお、アクアクララではRO膜(逆浸透膜)を使ったろ過システムで原水(水道水)に含まれる不純物や雑味を除去。その後カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムのミネラル成分をバランスよく配合しています。硬度「29.7mg/L」の軟水に仕上げているため、まろやかな口当たりを楽しめます。
「水分と一緒にミネラル成分を摂りたい」という方は、アクアクララのウォーターサーバーを利用してみてはいかがでしょうか。

※この記事は正しい情報発信を行うために、看護師に監修を依頼しております。商品について看護師が推薦を行うものではありません。

 

監修者

繁 和泉(看護師・予防医学士)

看護師・予防医学士として長年「病気になる前の未病の段階」で対処することを念頭に、誰にでもできる健康習慣の情報発信に精を出す。「朝晩コップ1杯の水を摂る」厚生労働省が掲げる推進運動に賛同。「水を飲むことの大切さ」をわかりやすく発信するとともに、自身も「1日1.5L以上の水分」を摂取し、美容と健康維持に役立てている。