• 水の百科事典

製品開発のストーリー

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家にいながらにして、安全でおいしい冷水や温水をいつでも楽しめるアクアクララのウォーターサーバー。その裏側では安全をしっかりと確保し、おいしさを実現するための努力が行われています。アクアクララならではの製品開発、水作りのこだわりとはどのようなものなのか。今回は、アクアクララの製品に込められた開発ストーリーをお届けします。

今回インタビューを受けた方はこちら

取締役
品質管理本部 本部長
関小田 弘 氏

関小田弘氏は品質管理本部 本部長という立場でウォーターサーバーなどの製品開発、品質管理、プラントの管理などを行っています。社内では「アクアクララのお水作りと言えばこの人」というほど、最も深くアクアクララの製品開発に関わっている存在です。一般社団法人日本宅配水&サーバー協会 製品水委員会座長兼任。

2000年頃から国内に普及したウォーターサーバー

――日本でウォーターサーバーが普及し始めたのはいつ頃なのでしょう?
関小田:国内で見かけるようになったのは1990年代の初めの頃だと思いますね。ペットボトル入りのミネラルウォーターが本格的に普及し始めたのは、2000年に入ってからでしょう。
――ミネラルウォーターと同じように、海外が発祥なのですね。
関小田:そうです。元々ウォーターサーバーは、アメリカやヨーロッパ、アジアでは中国や韓国などを中心に普及していました。ただ、そのウォーターサーバーから出るのは冷水ではなく、ほとんど常温か温かい水です。特に欧米では、日本のように冷たい水を好んで飲むということはあまりないようですね。それともうひとつ、日本くらい水道設備がしっかり整備されている国も珍しいのですよ。だから、海外ではウォーターサーバーが飲料水として、当たり前のように使われていました。
――当初日本で広まったのは、海外製のウォーターサーバーだったのでしょうか。
関小田:はい。最初は海外製のウォーターサーバーを、日本でも使うようになりました。その後、日本製のウォーターサーバーを、家庭やオフィス向けに提供するようになります。最初は地場のメーカーさんが、その地域で販売やレンタルを始めたのです。その後、家庭向けを中心に全国展開をするようになったのは、アクアクララが最初です。
――アクアクララが日本向けに開発したウォーターサーバーは、どんなアレンジがなされたのでしょうか。
関小田:まず、「安心」、「安全」、そして「おいしさ」を追求した製品作りを絶対的な基本コンセプトにしました。このコンセプトは今も変わっていません。それから、デザインをガラリと変えています。日本の家に置いても違和感のないように、すっきりとスリム化しました。

東日本大震災で一般の人々の意識が変わった

――安心、安全というのはどのような技術によって実現されているのでしょうか。
関小田:いくつかポイントがありますが、まずアクアクララの水は飲用に適した水を原水として、「RO膜(逆浸透膜)」でろ過しています。このRO膜(逆浸透膜)というのは水に溶け込んでいる有機物、無機物などの不純物を取り除くためのもので、これを使ってろ過するとH2O以外をほとんど含まない水を作り出すことができます。
――RO膜(逆浸透膜)について、多くの人が名前を知ったのは東日本大震災の時ですよね。
関小田:ええ、そうですね。
――2011年の福島原発事故の後、金町浄水場(葛飾区)の水道水から1kgあたり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表されてニュースになりました。
関小田:あの時、放射線医学総合研究所さんから「RO膜(逆浸透膜)以外ではほとんど、あるいは限定的な除去効果しか期待できないことがわかりました」という発表が出されたのです。それで弊社にも本当に多くの問い合わせをいただきました。
――やはり、反響は大きかったのですね。
関小田:すごかったですね。数十万件のお問い合わせをいただくくらい関心を持っていただいて、一時はお届けできるまで2ヶ月待ちというような状況でした。
――震災と原発事故をきっかけに、たぶん一般の人々の意識も変わりましたよね。飲料水の安全性に対する意識が高くなったのではないでしょうか。
関小田:それはあるかもしれません。日本の場合、元々安全性というのは当然あるべきこととして認識されていましたからね。その当然の安全性を確保するために、弊社では以前から様々な研究を続けていたわけです。
自社研究センターにて、品質・安全性の確認を日々行っております
――RO膜(逆浸透膜)以外に、安全性を確保するためのポイントはどのようなものがありますか?
関小田:特徴的なのは、ウォーターサーバーのメンテナンスを定期的に行っていることですね。弊社ではウォーターサーバーを安心して使っていただくために、メンテナンスは必須と考えています。例えば、アクアスリムという商品では1年に1回、アクアアドバンスという商品では3年に1回という形でメンテナンスを行っています。
また、アクアクララはリターナブルボトルを採用しており、一度使ったボトルを洗浄殺菌して、リユースしています。ワンウェイと呼んでいる使い捨てタイプもありますが、環境問題や資源の有効利用のことを考えれば、リユースの方が好ましいですからね。

※アクアアドバンスは2021年1月末をもって取扱い終了となりました。

――ウォーターボトルの洗浄剤も安全性が高いものを使用しているのですよね。
関小田:はい。洗浄剤もよく使用される塩素系の洗浄剤ではなく、より安全性が高い酸素系の洗浄剤を使っています。これはライオンさんと共同研究をした、オリジナルの洗浄剤なのです。
ライオン株式会社と共同で作られたブランド「O2 Clean®」
関小田:この洗浄剤は「O2 Clean®」というシリーズのブランドで、除菌力が高い上に、除菌作用時に汚れや細菌を水や酸素に分解するため、不純物が残らないのが特徴です。また、塩素系の洗浄剤は独特の臭いがしますが、O2 Clean®は酸素系の洗浄剤のため無臭で、イヤな臭いがする心配も必要ありません。

安心、安全……そしてもうひとつのこだわり

――そうした「安心」、「安全」という面と、もうひとつのこだわりである「おいしさ」についてはどのような工夫をしているのでしょう?
関小田:これも様々な要素があるのですが、ひとつ大きなポイントとして、ミネラルの組成と量が挙げられます。RO膜(逆浸透膜)によって真水を取り出した後に、弊社では独自の配合のミネラルを加えます。中心になるのはカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの4つです。これがアクアクララの水の味の決め手になっています。
――その配分が最もおいしいということですか。
関小田:そうですね。もっと端的に言えば、お客様がこの味がおいしいとおっしゃっていただいていることが大きいです。これを変えると「アクアクララの味じゃない」と言われてしまいます。アクアクララの水はいつでもどこでも、同じ品質、同じ味の水ということを徹底管理して行っています。

基本コンセプトを頑なに守りながら未来を見る

――商品についても教えてください。アクアスリムはスタンダードなウォーターサーバー、そしてアクアアドバンスはよりハイクオリティーな製品なのですよね。
関小田:アクアアドバンスの特長は、紫外線ランプによるタンク内クリーン機能を搭載していることです。水に紫外線を当てることで、タンクを常にクリーンに保つ機能なのですが、開発過程ではかなり苦労をしました。紫外線で水の風味に影響をあたえる場合があり、その問題を解決するには半導体工場レベルの洗浄が必要で、そのための洗浄システムを作りました。そういう目に見えないノウハウが色々と詰まっています。他にも、アクアアドバンスには温度コントロールや省エネ性能なども備わっています。

※アクアアドバンスは2021年1月末をもって取扱い終了となりました。

――半導体工場レベルの洗浄というのはすごいですね。
関小田:安全性とおいしさを堅持しようとすると、新開発というのはなかなか大変ですね。今度、新商品として7Lのウォーターボトルをリリースするのですが、これはアクアクララでは最軽量ボトルです。単身者の方やご高齢の方にもご利用しやすいように、実際にそうしたご要望から作られた商品です。ただ、開発の際にはタンクが下に置ければもっと扱いがラクなのではといったリクエストもありました。しかし、慎重に検討を重ねた結果、タンクを下置きにすると機構的な問題から安全性が損なわれると判断して現時点では見送りました。
――なるほど。水というのは時代に合わせて「○○水」というような名前のついた商品が流行ることもありますよね。こういった流行などについては、どのようにお考えですか?
関小田:そうした商品すべてを否定しているわけではないです。「これは」と思うものがあれば十分に研究もします。ただ、繰り返しになりますが、ベースにある「安心」、「安全」そして「おいしさ」についてはとても重要視しています。
――「安心」、「安全」、「おいしさ」の3つは、譲れないポイントなのですね。
関小田:今後、高齢者や単身者が増えていけば時代を捉えた商品づくりなどをしなければと考えていますし、他のネットワーク機器と繋がるIoT(Internet of things)なども視野に入れています。ただし、それらもすべてアクアクララの原理原則に照らし合わせて、必要性があれば開発していくというスタンスは変わりません。水というのは空気と同じ、絶対に必要なものですから、そうした社会的な責任感を背負いながらやっていこうと考えています。

アクアクララは次から次に新製品を開発しては販売していくという会社ではありません。今ある製品を大事にし、改善や改良を続けています。新しい製品が作られる時は、創業の頃からの原理原則に合致するという判断があった時です。関小田氏の製品開発に関する話から、そんなアクアクララの考えとこだわりが伝わってきました。

アクアクララのウォーターサーバーについて、さらに詳しく知りたいという方は、ウォーターサーバーの気になることのページなどもご覧になってみてください。

※本記事は、2016年1月時点での情報です。