• 水の百科事典

実は多い水の種類!それぞれの特徴を解説

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook

私たちの生活になくてはならない水。ひとくくりに「水」といっても、実はたくさんの種類があることをご存知ですか?
それぞれの水が持つ特徴と、その水を選ぶことのメリットを知っておけば、適材適所で使い分けてもっと快適な毎日が送れるかもしれません。本記事では用途に合った水を選べるように、種類ごとの特徴や選び方のポイントをご紹介します。

水の種類はどのくらいある?

水は、大きく「ナチュラルミネラルウォーター」「ナチュラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4つに分類できます。
さらに、ボトルドウォーターの中には、「RO水」「アルカリイオン水」「海洋深層水」「水道水」といった種類があります。
これらは水源の違い、含まれるミネラルの量、pH値(水素イオン指数)、処理や加工方法などによって分類されています。

水の分類

まずは、水がどのように分類されるかについて解説します。

水の種類の基準

水の主な原水は7種類(浅井戸水、深井戸水、湧水、鉱泉水、温泉水、伏流水、鉱水)あります。そして、採水場所や処理方法により「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」という4つに分類されます。これは農林水産省が定める「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」でも規定されています。

また、水は、ミネラルの含有量により主に「硬水」「軟水」に分けられます。カルシウムやマグネシウムといったミネラル分が多いと硬水、少ないと軟水に分類されます。正確な数値基準はWHO(世界保健機関)により定められていますが、日本では地形や大地に含まれる鉱石の関係で軟水が多いと言われています。

ここからは、種類ごとの水の特徴を詳しくみていきましょう。

ナチュラルウォーターの特徴

「ナチュラルウォーター」とは、水質や水量が安定した特定の地下水を水源とし、ろ過や沈殿、加熱殺菌以外の科学的処理を行っていない水のことを言います。ミネラル分の溶解が少ないのが特徴です。

ナチュラルミネラルウォーターの特徴

ナチュラルウォーターのなかでも、地下で移動中や滞留中に地層のミネラル分が溶解したものを「ナチュラルミネラルウォーター」と呼びます。自然の風味を生かすため最低限のろ過、沈殿、加熱殺菌処理しか行わないのが特徴です。品質管理に手間がかかり比較的高価ですが、そのナチュラルな風味から愛飲する方が多い水です。
また、ナチュラルミネラルウォーター、ナチュラルウォーターを一般的には天然水といいます。天然のミネラルを含んでいるため本来の水の味が楽しめます。

ミネラルウォーターの特徴

ナチュラルミネラルウォーターやナチュラルウォーターを原水とし、品質を安定させるためにさらに手を加えた水を「ミネラルウォーター」と呼びます。ろ過、沈殿、加熱処理に加え、オゾン殺菌やミネラル分の調整、ブレンドなど、その処理方法には一定の基準が定められています。

ボトルドウォーターの特徴

上で説明したナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーターという3つに当てはまらない水はすべて「ボトルドウォーター」に分類されます。ろ過、加熱殺菌処理などに関しての基準がないため、水道水や蒸留水、純水など飲用可能な水であれば、すべてこのボトルドウォーターに当てはまることになります。

ここからは、ボトルドウォーターの種類についてご紹介します。

RO水の特徴

「RO水」とは、RO膜という特殊なフィルターを使ってろ過された水のこと。食品衛生法や水道法の基準を満たした安全な上水からさらに不純物を取り除いて作られる、限りなく純水に近い水です。コスト面や環境面でも優れており、その雑味のない味はウォーターサーバー用の水としても重宝されています。RO水にミネラルを添加して味わいや成分にこだわった種類もあります。

アルカリイオン水の特徴

「アルカリイオン水」とは、弱アルカリ性の水のこと。まろやかな口当たりが特徴の、味を楽しめる飲み水のひとつです。家庭用アルカリイオン整水器で水道水から作ることもできますし、スーパーなどでもペットボトルで販売されています。一日に0.5~1Lを飲むことで、胃腸症状の改善に緩やかな効果が期待できると報告されています。

水道水の特徴

私たちの暮らしにもっとも身近な「水道水」。水質基準項目(51項目)などの国が定める厳しい基準をクリアしているため、実は安全に飲める水です。大きなメリットはもちろん、コスパの良さ。蛇口からそのまま飲んでも問題ありませんが、消毒のために含まれる塩素のニオイが気になるなどの理由で、浄水器を使用している人も多いようです。

海洋深層水の特徴

水深200mより深いところの水を「海洋深層水」と呼びます。太陽の光が届かないためプランクトンや細菌などが極めて少なく、年間を通じて水質の変化がないことが特徴です。硬度が高い海洋深層水にはマグネシウムやカルシウムといったミネラル分が豊富に含まれているため、健康面でも良い効果が期待できます。

炭酸水の特徴

シュワシュワの喉ごしが特徴の「炭酸水」。その名のとおり二酸化炭素(炭酸ガス)が含まれた水のことで、自然が生み出す「天然炭酸水」と人工的に作られた「人工炭酸水」があります。炭酸水は、便秘解消やダイエットへの効果が期待できると、健康・美容意識の高い人たちからも注目されています。最近ではさまざまなフレーバーを加えた商品も登場しています。

たくさんの種類の水からどう選べばいいの?

さまざまな水の種類をご紹介しましたが、みなさんが知りたいのはずばり「どうやって選べばいいの?」ということでしょう。ここであげた水はどれも、飲用水として安全に飲めるものです。だからこそ、しっかりと目的に合わせて選びましょう。

赤ちゃんに与えるなら

水分補給のためにごくごく飲むときや赤ちゃんのミルク作りには、RO水や軟水のミネラルウォーターが向いています。
特にRO水は、厳しい検査基準をクリアした水を特殊なフィルターでろ過した安全性の高い水で、赤ちゃんにも安心して与えられます。

味の美味しさで選ぶなら

例えば、常に一定の味(美味しさ)を求める人にはRO水がおすすめです。
また、より自然な味を好む人にはナチュラルミネラルウォーターがおすすめ。軟水のナチュラルミネラルウォーターを選べば、よりまろやかな口当たりとすっきりした喉ごしを感じられ、硬水を選べばしっかりとした味を楽しめます。

健康維持・美容・ダイエットに活用したいなら

健康維持や美容、ダイエット目的の方には、アルカリイオン水や海洋深層水がおすすめ。炭酸水ならお風呂上がりや気分をリフレッシュしたいときにおすすめです。

コスパ重視なら

とにかくコスパを重視したいのなら、水道水をそのまま利用すればOK。成分やニオイが気になる場合は、RO水を選択肢に入れてもいいでしょう。RO水を取り扱っているウォーターサーバーを設置すればいつでも飲めるので、長い目で見ればコスパも悪くないと言えます。

上記以外にも、胃腸を整えたいときはアルカリイオン水、食事の美味しさを引き立てたいときに和食は日本産の軟水、洋食は外国産の硬水など、用途に合わせて使い分けるのもおすすめです。

まとめ

普段何気なく飲んでいる水ですが、さまざまな種類があり、それぞれ特徴があります。これまで特にこだわりがなかった方でも、気にしながら飲んでみると、意外と風味や口当たりの違いを感じることができるはずです。ぜひ用途や好みに合った水を選んでみてください。

監修者

江口 慶太(日本アクアソムリエ協会認定 アクアソムリエ)

浄水器メーカーに勤めたことがきっかけで、水にこだわりたい、という強い思いを持つようになり水の知識と味わいに関する資格「アクアソムリエ」を取得。その後、約1年かけて地球を⼀周し、世界各地の⽔やミネラルウォーターについて知識を深める。現在は、水関連のメーカーに勤めるかたわら、水などで割って飲むイギリスの伝統的な飲み物・ハーブコーディアルのブランド「Mill」の展開をしている。